訳文を並べて翻訳学習

先月、Human Poweredの翻訳セミナー(訳文改善講座)に参加しました。
英文和訳の翻訳課題があり、その解説が講師からあるだけでなく、参加者の訳文が名前を伏せた形で全員に配られるので、自分の翻訳の出来、不出来が一目瞭然となります。
セミナーを受けたっきりだったのですが、年が明けてようやく復習できました。
復習の方法は人それぞれでしょうが、私はいつも一文毎に比較できる一覧表をMicrosoft Wordで作っています。

一番左に通し番号、その次の列から原文、自分の訳文、他の参加者の訳文を入れていきます。
上記の画像はブログ用に何も入っていませんが、実際には英文と日本語文が入っています。
一文一文、確認し、ときには一語一語確認しながら、
・英文解釈に間違いがなかったか
・適切な日本語になっていたか
を見ていきます。
いいなと思った訳語や表現にマーカーをつけたり、ときには辞書で確認を取ったりします。
たとえば、今回はscienceという基本的な単語が出てきたのですが、「科学」ではなく「科学的な知」とされている訳文もありました。
それで改めて辞書を引くと、「科学的知識」「体系的知識」といった語義が英和辞書に載っていることに気づきました。
課題文の文脈では確かに単なる「科学」よりも「科学的な知」や「科学的知識」のほうがよかった。
また、「逼迫」という訳語を使った参加者が何人かいらっしゃって、その部分に当たる英単語を英和辞典で引いても、「逼迫」を和英辞典で引いてもその単語はなかなか出てこない(ちなみにoverburden)。
辞書には載っていないけど、その課題文には確かに合う気がする。
一方で、「台頭」という訳語を使った参加者が多かった部分について、確かに辞書には載っているけど、課題文の文脈ではちょっと違和感があったかも?と思ったり(ちなみにrise)。
そんなことを考え、今後につながるように復習しました。
復習にはセミナーで話題に上がったオーレックス英和辞典(昨年10月に新しい版が出たばかり!)を購入して、早速使っています。
他の方々の優れた訳文と比べさせていただき、自分の訳文のここはそんなに悪くない、ここはもっと改善できた、などと感じられるよい機会となりました。

「訳文改善講座 AI時代の翻訳 やっていいこと、悪いこと。」
同じ原文に対して10を超える訳文を一度に拝見できる機会はなかなかないので、貴重なセミナーです。
これからも言葉に対する意識を高めていきたいと思います。